医療・看護師向け採用動画の作り方|病院・クリニックが人材確保に使える動画戦略

最終更新 : 2026年10月23日

辞める理由は給与より「自分にできるか」の不安。新卒看護師の退職理由46.6%
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John Doe

北麓動画クリエイター
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看護師の採用動画をつくりたい。けれど、何を撮ればいいのかがわからない。

私たち有限会社北麓(HOKUROKU)は、東京・代々木を拠点に映像制作を行っています。これまで携わってきた映像はTVCMから会社紹介、採用動画、ショートドラマまで10,000本以上にのぼります(当社実績)。そのなかで、医療機関の採用動画には他の業種と決定的に違う点があると考えるようになりました。

それは、求職者が知りたいのは「この病院がどれだけ立派か」ではなく「自分がここでやっていけるか」だということです。

この記事では、公的機関が公表しているデータと、当社が現場で積み重ねてきた制作の経験をもとに、看護師採用動画の作り方を実務レベルで整理します。撮影シーンの決め方、医療機関ならではの法令確認、限られた予算で効果を最大化する展開設計まで、担当者がそのまま社内の企画会議に持ち込める粒度で書きました。

看護師採用動画の役割は「応募を増やすこと」だけではない

採用動画の目的を「応募数を増やすこと」に置くと、多くの場合、映像は成果につながりません。理由は、看護師採用の本当の痛みが入口ではなく出口にあるからです。

公益社団法人日本看護協会の「2025年病院看護実態調査」によれば、2024年度の正規雇用看護職員の離職率は11.0%、新卒採用者は8.4%、既卒採用者は16.1%でした(※1)。病床規模別に見ると、99床以下の病院で13.1%、500床以上で10.0%と、規模が小さいほど離職率が高い傾向が示されています(※1)。

さらに注目したいのが、退職理由の内訳です。同調査で、年度内に離職した新卒看護師がいた病院の看護管理者が挙げた主な退職理由は、「健康上の理由(精神的疾患)」が54.6%、「自分の看護職員としての適性への不安」が46.6%、「自分の看護実践能力への不安」が44.2%、「上司・同僚との人間関係」が27.0%でした(※1)。

上位に並ぶのは、給与でも休日数でもありません。「自分にできるだろうか」という不安です。

つまり、看護師採用動画が本当に果たすべき役割は、応募のハードルを下げることではなく、入職前と入職後の認識のずれを小さくすることにあります。応募数だけを追った動画は、ミスマッチを起こした人まで呼び込んでしまい、結果として離職率を押し上げかねません。

私たちが医療機関の採用動画をご相談いただいたとき、最初にうかがうのは「何人採りたいですか」ではなく「昨年辞めた方は、何が理由でしたか」です。そこにこそ、映像で埋めるべき穴があります。

実際にあった例を一つ挙げます。ある企業から採用動画のご相談をいただいた際、最初に伝えられたのは「生産性の高さと、サービスの素晴らしさを見せたい」という要望でした。ところが社員の方々への取材を重ねると、出てくる言葉の中心は生産性ではなく、「この会社への想い」「仲間の大切さ」「地域への貢献」でした。そこで当初の要望も残しつつ、動画全体のビジョンを「働く人の想い」を軸に組み替えました。依頼主が見せたいものと、求職者が見たいものは、しばしばずれます。そのずれは、現場で話を聞かなければ見つかりません。

企画で決めるべきは、構成表より先に「感情の着地点」

映像制作の一般的な流れは、ヒアリング、企画・構成、シナリオ・絵コンテ、撮影、編集、納品です。多くの制作会社がこの順で進めます。

ただ、当社ではその手前にもう一段階を置いています。社内で「感情設計」と呼んでいる手順です。

やることは単純で、「この動画を見終わった30秒後、求職者にどんな気持ちでいてほしいか」を1文で決める。これだけです。決めるのは構成でも演出でもなく、感情の着地点です。そして、そこから逆算して「では、その気持ちになってもらうには何が映っている必要があるか」を組み立てていきます。

たとえば看護師採用動画で、着地点の候補はこう分かれます。

感情の着地点 必要になる映像の中身
ここなら失敗しても大丈夫そうだ 新人がミスをした場面の振り返り、プリセプターの関わり方、教育担当者の言葉
この人たちと働いてみたい 先輩看護師同士の自然な会話、休憩室の様子、申し送りの空気
自分のキャリアが想像できる 3年目・7年目・15年目のインタビュー、認定資格取得までの過程、部署異動の実際
ここでなら生活と両立できる 日勤のみ・時短勤務で働く方の1日、夜勤明けの過ごし方、院内保育の様子

同じ「看護師採用動画」でも、着地点が違えば撮るべきものが丸ごと変わります。逆に言えば、着地点を決めずに撮影に入ると、病院紹介と業務説明と理念表明が混ざった、誰の心にも残らない映像になりがちです。

なお、当社では社内の設計言語として、注意を引く・共感を生む・余韻を残すといった段階を神経伝達物質の名前になぞらえて説明することがあります。ただしこれは、制作チームとクライアントが演出の意図を共有するための比喩であり、特定の生理的効果や採用成果を保証するものではありません。あくまで「感情の順番を意図的に設計する」ための共通言語として使っています。

現場の制約から逆算する撮影設計

医療機関の撮影が他業種と最も違うのは、出演者の時間がほとんど取れないことです。

一般企業であれば、インタビュー1本に1時間確保することも珍しくありません。しかし病棟では、勤務の合間に30分、夜勤明けに20分といった単位でしか協力を仰げないことが少なくありません。しかも当日、急変対応が入れば予定は消えます。

当社は、イベントや披露宴の「撮って出し」——当日に撮影し、その場で編集し、同じ日のうちに上映する制作スタイル——を主力のひとつとしてきました。撮りながら「このカットをどう使うか」を判断し続ける仕事です。この経験が、時間の読めない医療現場の撮影で最も効いています。

限られた枠で成立させるための、実務的な設計は次のとおりです。

  • 質問は3問に絞って事前共有する。台本は渡しません。渡すと読み上げになりやすく、表情が硬くなります。渡すのは問いだけです。「入職して一番きつかった時期はいつでしたか」といった、答えに詰まる質問ほど、いい表情が撮れます。
  • インタビューと業務風景を同じ動線に組む。病棟の廊下でインタビューを撮り、そのまま同じ人の申し送りを撮る。移動をなくすだけで、出演者の拘束時間は大きく減らせます。
  • 待機カット(インサート)は出演者不在で撮る。手指衛生、ナースコールの点灯、ワゴンの音、窓の光。これらは看護師の時間を1分も使わずに撮れて、編集の自由度を大きく広げます。
  • 撮影当日の進行は現場責任者に委ねない。香盤表(撮影のタイムスケジュール)を制作側が管理し、看護部には「この時間にこの方を10分お借りします」とだけお伝えする形が最もスムーズです。

当社の場合、代表の藤橋が自らディレクターとして現場に立ちます。病院は「撮り直しに来ます」が通用しにくい現場です。予定が崩れたその場で構成を組み替える判断が必要になるため、意思決定できる人間が現場にいることを重視しています。

当社でも、撮影当日に出演予定だった社員の方が急に出られなくなったことがあります。その場で出演者を差し替え、撮影順を組み替えて、予定していた構成を成立させました。病院では、こうした事態はむしろ日常です。「誰が抜けても成立する撮影順」を前日までに考えておけるかどうかが、現場での判断を左右します。

病院の採用動画で必ず確認したい法令と権利の論点

医療機関の映像には、他業種にはない確認事項があります。制作を外部に任せる場合でも、発注側が論点を把握しておくことでトラブルを未然に防げます。

求人動画は医療広告規制の対象ではない

まず、多くの担当者が心配される点です。厚生労働省の「医療広告ガイドライン」では、通常は医療広告と見なされないものの具体例として「医療機関の職員募集に関する広告」が挙げられています。職員の採用を目的とした求人広告は、当該医療機関への受診を誘引するものではないため、医療広告の要件のうち「誘引性」を満たさない、というのがその理由です(※2)。

つまり、純粋な採用目的の動画であれば、医療広告としての広告可能事項の制限を受けません。

ただしこれは「何を言ってもよい」という意味ではありません。動画のなかで治療実績や診療内容を前面に押し出し、実質的に患者の受診を誘引する内容になっていれば、判断は変わり得ます。採用サイトと診療案内ページが同じドメイン上で地続きになっている場合は特に、線引きを意識しておく必要があります。判断に迷う内容が含まれる場合は、医療機関を所管する自治体の医療広告相談窓口に確認するのが確実です。

「誤解を生じさせる表示」は法律上の禁止事項

一方で、確実に効いてくるのが職業安定法です。2022年10月1日に施行された改正により、求人企業には、求人等に関する情報について虚偽の表示や誤解を生じさせる表示をしないことが義務づけられています(※3)。

採用動画も、求職者に向けて職場の実態を伝える情報である以上、この考え方の外にあるとは言えません。実際には常に人手が足りていない部署なのに、余裕のある働き方だけを切り取って見せる。実質的に夜勤が必須なのに、日勤のみで働く方だけを映す。こうした構成は、法令上のリスクである以前に、入職後の離職を自ら招きかねない構成です。

日本看護協会の調査では、看護職員(正職員)の確保のために導入している働き方として、「日勤のみ」が54.7%、「夜勤回数や夜勤時間、曜日が選択できる」が44.1%、「短時間勤務」が39.3%、「本人の希望の専門領域・部署への配属」が38.7%と報告されています(※1)。制度としては相当に整ってきています。だからこそ、制度があることを伝えるだけでなく、誰が、どんな条件で使えているのかまで映すことが、誠実さと訴求力を両立させる道になります。

関連して、2024年4月から労働条件明示のルールが改正され、労働契約の締結時などに「就業場所・業務の変更の範囲」の明示が必要になりました(※4)。将来的な配置転換の可能性がある職場で、特定の病棟だけを描いた動画は、この明示内容と齟齬を生みかねません。動画の内容と募集要項の記載を突き合わせる工程を、公開前に必ず入れてください。

患者の映り込みと、出演者の同意

病棟や外来での撮影では、患者やご家族が映り込む可能性が常にあります。医療機関にいるという事実そのものが、その方の健康状態に関する情報になり得るため、取り扱いには特別な配慮が必要です。撮影範囲の事前告知、撮影エリアの限定、映り込みが生じた場合の処理方針を、撮影前に院内で取り決めておくことをおすすめします。個人情報の取り扱いについては、院内の個人情報保護担当部署のルールに従ってください。

出演する職員についても、肖像権の使用許諾を書面で取得します。このとき、使用範囲(採用サイト・SNS・説明会・院内掲示など)と使用期間を具体的に書き分けることが後々効いてきます。次の見出しで触れる理由からです。

1回の撮影を使い切る展開設計と、出演者の退職を織り込む方法

採用動画の費用対効果を決めるのは、実は編集後の設計です。

撮影は1回、成果物は複数

当社が医療機関にご提案する際は、1回の撮影から複数の成果物を設計することを前提にしています。

  • 採用サイト掲載用:2〜3分の本編
  • SNS配信用:30〜60秒の縦型(9:16)ショート版
  • 就職説明会・院内モニター用:BGMのみのループ版
  • 求人媒体埋め込み用:15〜30秒のダイジェスト

これを後から思いつくと、素材が足りません。縦型を想定していない引きの構図で撮ってしまうと、9:16に切り出したときに人物が見切れます。撮影前に展開先を決め、16:9と9:16の両方で成立するフレーミングで撮っておけば、追加の撮影費をかけずに発信量を数倍にできます。テロップを後から差し替えやすいデザインにしておくことも同様です。

出演者は、いずれ退職する

そして、医療機関の採用動画で最も見落とされがちな論点がこれです。

先述のとおり、正規雇用看護職員の離職率は11.0%です(※1)。これは病院全体の年間平均値であり、出演者という少人数の集団にそのまま当てはまるものではありません。それでも、数年使う前提の採用動画で、出演者の異動や退職が起きることは、確率として十分に想定しておくべき事態です。

退職した職員が笑顔で「ずっとここで働きたい」と語る動画が採用サイトに残り続けている——これは、在職スタッフにとっても、退職した本人にとっても、望ましい状態ではありません。

当社では、この前提を撮影段階から構成に織り込みます。

  • 特定の1人に依存した構成にせず、複数名で役割を分散させる
  • 個人が特定される場面と、そうでない場面を編集上で切り分けておく
  • 差し替えを想定し、同じアングル・同じ照明条件で撮り足せるよう撮影データを記録しておく
  • 納品時に素材データと編集プロジェクトの取り扱いを取り決めておく

こうしておけば、退職者が出ても該当箇所の部分差し替えで対応でき、全編の撮り直しを避けられます。「いつか壊れる前提で設計する」ことが、結果として動画の寿命を延ばします。

当社でも、納品後に出演者が退職し、対応した案件があります。取った手段は再撮影と、該当シーンのカット編集です。使用頻度が高く長期で使う動画は再撮影を、短期利用や公開範囲が限られる動画は該当シーンを削って尺を縮める対応を選びました。どちらで済むかは、撮影時にブロック構成にしてあったかどうかで決まります。

制作会社を選ぶときに見るべきことと、当社の進め方

看護師採用動画の制作会社を選ぶ際、実績本数やホームページの見栄えは判断材料になりますが、それだけでは決められません。私たちが依頼する側だったら、次の点を確認します。

  • 初回のヒアリングで「辞めた理由」を聞いてくるか。撮りたい絵の話から始まる会社は、企画を映像の都合で組んでいます
  • 現場の時間制約を先に確認するか。「何分お借りできますか」を聞かない相手では、当日の進行に無理が出ます
  • 打ち合わせに来る人が、現場でも判断できる人か。営業担当とディレクターが別人の場合、現場での仕様変更に時間がかかります
  • 展開先(サイト・SNS・説明会)を撮影前に確認するか。これを聞かない会社は、後からの二次利用で追加費用が発生しがちです
  • 見積書に、修正回数・素材データの扱い・差し替え対応の条件が書かれているか

当社にご相談いただく場合の流れは、次のとおりです。初回のヒアリング・お見積もりは無料でお受けしています。方向性がまったく決まっていない段階でのご相談も歓迎しており、実際に「何をつくればいいのかわからない」という状態からご一緒することが多くあります。

  • ヒアリング:採用の現状と課題、直近の離職状況、伝えたいことをうかがいます。代表が同席します
  • 感情の着地点の設定:見終わった後にどんな気持ちでいてほしいかを、一緒に1文で決めます
  • 構成・演出のご提案とお見積もり:着地点から逆算した撮影シーンと、展開先ごとの成果物をご提示します
  • 撮影:香盤表を制作側で管理し、現場の負担を最小化します。企画から撮影・編集まで自社で対応するため、外注による伝達のずれが起きません
  • 編集・ご確認・納品:本編に加え、ショート版・ループ版など用途別のバージョンをまとめて納品します

企画から撮影・編集・ナレーション・BGM・キャスティングまでを一貫してお引き受けできる体制のため、窓口はひとつです。低予算のプランからTVCM水準の映像まで、ご予算に応じた設計が可能です。

まとめ

看護師採用動画は、応募数を増やすための広告ではありません。入職前と入職後のずれを小さくし、働き始めた人が辞めずに済む状態をつくるための道具です。

新卒看護師の退職理由の上位を占めるのが、適性や実践能力への不安であるという事実(※1)は、そのまま「動画で何を映すべきか」の答えになっています。立派な施設でも最新の設備でもなく、失敗したときに誰がどう関わってくれるのか。その一点を、実在する人の言葉と表情で伝えることです。

そのために必要なのは、撮影の前に感情の着地点を決めること、現場の時間制約から逆算して撮影を設計すること、法令と権利の論点を先に潰しておくこと、そして1回の撮影を使い切る展開を組んでおくことです。

医療・看護師向けの採用動画をご検討中でしたら、まだ方向性が固まっていない段階でも構いません。当社は「とりあえず相談だけ」のご連絡を歓迎しています。貴院の採用の悩みからお聞かせください。

採用動画のご相談は、まだ何も決まっていない段階でも

「動画を作るべきかどうか」から一緒に考えます。目的・予算・時期が固まっていなくても構いません。まずは採用の悩みからお聞かせください。

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監修

藤橋 俊昭 (有限会社北麓 代表取締役)

映像制作歴25年。採用動画・企業紹介動画の企画から撮影・編集までを一貫して手がけ、独自メソッド「感情設計」に基づく現場ヒアリングと構成設計で、数多くの企業の採用課題解決に携わる。北麓について

※本記事の法令に関する記述は一般的な情報提供であり、個別の法的助言ではありません。具体的な運用は専門家にご確認ください。

出典一覧

※1 公益社団法人日本看護協会「『2025年 病院看護実態調査』結果」(2026年3月31日公表。調査期間:2025年10月1日〜11月17日、有効回収数3,502件)https://www.nurse.or.jp/home/assets/20260331_nl01.pdf

※2 厚生労働省「医業若しくは歯科医業又は病院若しくは診療所に関する広告等に関する指針(医療広告ガイドライン)」(令和6年9月13日最終改正)https://www.mhlw.go.jp/content/10800000/001304536.pdf

※3 厚生労働省「職業安定法 改正のポイント」(令和4年10月1日施行)https://www.mhlw.go.jp/content/001250179.pdf

※4 厚生労働省「2024年4月から労働条件明示のルールが変わります」https://muki.mhlw.go.jp/rule.html

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